ありがとう

6月最初の朝に届いたメールはずっと一緒に阪神戦を見てきた知人が亡くなったとの内容だった。


年齢的には俺の祖母とそう変わりないかもうちょっと下だと思う。それにも関わらず阪神にかける想いや行動はそこらのファンよりよっぽど熱かった。失礼を承知で言えば、阪神があれば何年でも生きていれそうな人だと思うし、更にオーバーに言えば阪神タイガースは大事なファンを失った。


俺の周りはコアな人ばっかりだけど、間違いなくその中でも群を抜いた熱さや想いを持っていた。関東で試合があればほとんどいたし、札幌まで一人でこっそり遠征に行って、子供に怒られたなんて苦笑いして言いながら全然反省してない姿はある意味ファンの鏡だった。好きな事に対してバカになれるって事は最高の贅沢だし幸せな事。そう身を持って教えてくれた人だ。


最後になってしまった先日の神宮も当然レフトスタンドにいて、「月末札幌行くの?」「いや、行かない。今年は仙台へ行くんだ。」なんて話をしたばかり。またレフトスタンドに行けば、開門前の待機列に行けば会えるよな。そんな思いで試合終了後に別れ、次の試合の試合開始前に顔を合わせる。これが当たり前だった。


でももういつ行っても「おおっ」って声かけてもらえないんだよな。今の阪神はあーだこーだって話できないんだよな。デイリー見せてくれとも言われないんだよな…。
今シーズンの残りの試合は勝敗やら順位なんか関係なく代わりに試合を楽しんで応援する事にする。教わった事は貫き通すし、お世話になった事はいずれに誰かに返さねばとも思う。


朝から脱力感がすごいが、仕事中だけは忙しさで紛らわせる事ができた。帰ってきて元へ戻った感じ。でも、今よりも次球場に行っていつもの場所にいつもの姿がないのを見た時に悲しみがぐっとこみあげてきそうな感じがする。